なぜ「親戚づきあい」はこんなに疲れるのか？
「正月が近づくと気が重くなる」「法事があるたびに胃が痛くなる」。そんなふうに感じたことはありませんか？
私自身、毎年のように親戚づきあいにモヤモヤを抱えてきた一人です。年始の帰省や法事の場は、本来なら久しぶりに顔を合わせる時間。でも、実際には気疲れして帰るころにはぐったり…。こうした感情、あなただけではありません。
「行かなきゃいけない」という義務感がつらい
親戚とのつきあいがしんどい一番の理由は、「断れない空気感」だと思います。
たとえば会社の飲み会なら、体調不良や予定を理由にある程度スルーできますが、親戚関係となると話は別。特に冠婚葬祭や年始の集まりは、出席しないと“非常識”と見なされることもあり、内心では「本当は行きたくない」と思っていても、義務感にかられて足を運ぶ人は多いのではないでしょうか。
私も、「嫁として当然」「長男の妻なんだから」といった空気に押されて、何年も我慢を続けてきました。でも、そこで無理をすると、自分の気持ちがどんどん置き去りになっていくんです。
悪気のない“地雷トーク”が心をえぐる
親戚との雑談は、何気ない一言がグサッと心に刺さることもあります。「そろそろ結婚は？」「正社員にならないの？」など、本人は世間話のつもりでも、受け取る側はプレッシャーでいっぱい。
私の場合、「子どもはまだ？」という質問が一番つらかったです。答えたくても答えられない。そういう繊細な話題を、“当たり前のように聞かれる場”が親戚づきあいなのだと実感しました。
世代間ギャップが生む“価値観の押しつけ”
親世代と私たち世代では、ものの考え方や生き方に大きな差があります。「家を建てて一人前」「男は稼いでナンボ」など、古い価値観を前提にした会話に違和感を覚えることも少なくありません。
もちろん、年長者の意見をすべて否定するつもりはありません。でも、時代が変わっているのに、昔ながらの考えを一方的に押しつけられると、息苦しさを感じるのも事実です。
見えない“家庭内労働”が女性を追い詰める
とくに女性の場合、帰省や法事の場では「嫁だから」「女だから」という理由で、台所に立たされたり、子どもの世話を任されたりすることが少なくありません。
私自身も、義実家では座る暇もなく動き回るのが当たり前で、「年末年始はむしろ普段より忙しい」と感じることが多々ありました。
気づかれにくいけれど、こうした“役割の偏り”が親戚づきあいをさらにしんどくさせているのは確かです。
次章では、親戚づきあいのストレスを和らげるための「無理をしない距離感の作り方」について、実体験を交えながらお伝えします。
親戚との“適切な距離感”を作るには？
親戚づきあいがしんどいと感じるのは、多くの場合「近すぎる関係性」が原因です。無理に仲良くしようとしたり、期待に応えようと頑張りすぎたりすると、心も体もすり減っていきます。大切なのは、嫌われずに・消耗せずに・ほどよい関係を築くこと。そのための距離感の取り方には、ちょっとしたコツがあります。
無理に会話を広げすぎない勇気
集まりの場では、愛想よくしなきゃ…と気を張りすぎていませんか？実は、親戚との会話は“無理に盛り上げなくていい”のです。あいさつや天気の話など、浅く短い話題だけで十分。「聞き役」に徹することで、必要以上に心をすり減らさずに済みます。
私自身、「なんとか話をつながなきゃ」と頑張っていた時期がありましたが、逆に気疲れして翌日は寝込むことも…。今は、「うん、そうなんですね」と軽く相槌を打つだけのほうがずっとラクで、自分のペースも保てています。
“期待に応えない”練習をしてみる
「良い嫁に見られたい」「気が利くと思われたい」と思って頑張ってしまう人は多いですが、それは同時に自分をすり減らす原因にもなります。
たとえば、義母に「お雑煮作って」と言われたときに、「今年はちょっと体調がすぐれないので、ごめんなさい」と言ってみる。はじめは勇気がいりますが、意外とあっさり「そう？じゃあいいよ」で済むこともあります。期待を100％受け止める必要はありません。
スマホや“ちょっと抜け”を活用する
長時間の集まりで疲れを感じたら、思いきって少し席を外すのも有効です。「ちょっと子どもと外の空気を吸ってきますね」「トイレ行ってきます」と言えば、場を和らげつつ物理的に距離を取ることができます。
私もよく、“お茶をいれるふり”をしてキッチンにこもったり、スマホで予定を確認するふりをして気持ちを落ち着けたりします。こうした“小さな逃げ道”を自分に許すことが、しんどさの軽減につながります。
自分にとっての“適正ライン”を見極める
親戚づきあいをゼロにするのは難しいけれど、「どこまでなら無理せず関われるか」を知ることはとても大事です。たとえば、「年始のあいさつだけ顔を出して、泊まりは断る」「食事だけ同席して、その後の宴会は不参加」など、自分なりのラインを決めておくと、精神的にかなり楽になります。
次章では、親戚づきあいの中でも特に気を遣う「義実家との関係」をどうラクにしていくかを掘り下げていきます。
義実家との関係をラクに保つためのコツ
親戚づきあいのなかでも、とくにストレスを感じやすいのが「義実家」との関係です。夫の実家という立場上、どうしても“外の人間”として気を使いすぎてしまったり、「嫁なんだから」と期待される場面が多かったり…。私自身もこの関係性には長年悩まされてきましたが、無理なく続けられる付き合い方には、いくつかの工夫がありました。
“嫁は家政婦じゃない”と自分に言い聞かせる
義実家に行くと、自然と台所に立ち、気づけばひたすら動いている。こんな経験、ありませんか？
以前の私は、「手伝わないと悪い」「何か言われたくない」と思って動いていました。でも、あるときふと気づいたんです。「私、義実家に行くたび、休むどころか働いてるな」と。
そこで、それからは自分の中に「私はゲストのひとり」という意識を持つようにしました。もちろん、何もしないというわけではなく、“やれる範囲でやる”という線引きを自分の中で持つようになったのです。
「夫と一緒に動く」ことで負担を分散する
義実家での役割が“嫁だけに偏っている”場合、まず変えるべきは「夫の態度」です。「俺の実家だから」と任せきりにするのではなく、ふたりで一緒に動くのが本来あるべき姿です。
私の場合、事前に夫に「お母さんに言われたら、あなたも手伝ってね」と伝えておいたことで、だいぶ空気が変わりました。夫が率先して動く姿を見せると、義母の反応も変わるもの。やはり“嫁＝世話係”という意識を夫側から崩していくのは有効です。
「帰省＝全部受け入れる」必要はない
正月の帰省などは、何泊も当たり前のように期待されがちですが、それが負担になっているならば、泊数を減らす選択もアリです。
「今回は日帰りにしようか」「一泊だけにしよう」と事前に夫婦で話し合い、無理のない形を提案することが大切です。
私は体調不良を理由に帰省の短縮をお願いしたところ、最初は多少の不満もありましたが、回数を重ねるうちに理解してもらえるようになりました。無理して全部受け入れるのではなく、自分の生活を守ることもまた、長く良好な関係を築くうえで大切だと感じます。
義母との“共通の話題”を用意しておく
義母との会話に気を使う人も多いと思いますが、事前に共通の話題をいくつか用意しておくだけで、ぐっとラクになります。
たとえば料理やテレビドラマ、地元の話題など、相手が好みそうな話を軽くふるだけで、会話の空気が和らぎます。
私の義母は園芸が趣味なので、最近は「ベランダでミント育ててるんですよ」と話を振ると、嬉しそうに話してくれます。無理に合わせるのではなく、“自分も自然に話せる話題”を選ぶのがコツです。
次章では、正月・法事といった「親戚全体が集まるイベント」をどうラクに乗り切るか、その具体的な工夫をご紹介します。
正月や法事を“ラクに乗り切る”具体的な工夫
年始の帰省、親戚一同が集まる法事…。こうしたイベントは「行くのが当たり前」とされがちですが、心のどこかで「憂うつ」「気が重い」と感じている人は少なくありません。
私も以前は、年末が近づくたびにカレンダーを見てため息をついていました。でも、いくつかの工夫を取り入れてから、気持ちがかなりラクになったのを実感しています。
ここでは、親戚づきあいの“最難関”ともいえる正月や法事を、少しでも負担なく過ごすための具体的なヒントをお伝えします。
「役割を限定する」ことで自分を守る
親戚が集まる場では、誰が何をするかが曖昧になりがち。すると、「あの人は何もしていない」「〇〇さんばかり動いてる」といった陰口や不満が生まれやすくなります。
こうした場では、「私はこれだけやります」と役割をあえて限定するのがポイントです。たとえば、「食器洗いだけします」「子どもの面倒を見るので料理はお任せします」など、自分の中でやることを明確に決めておくと、気持ちの負担が減ります。
私は、「配膳はしますが、調理はしません」と決めたことで、無理なく場に参加できるようになりました。全体を背負おうとしないことが、自分を守るコツです。
事前に“短時間の参加”を伝えておく
正月や法事では、長時間の滞在が前提になりがちです。しかし、すべてに付き合う必要はありません。「どうしても体力的に厳しいので、〇時には失礼します」と事前に伝えておけば、変な気まずさも避けられます。
特に法事は、会食のあとにだらだらと親戚同士のおしゃべりが続くこともあります。無理に付き合わず、「今日はここまで」と自分のラインを引くことが大切です。
私も「子どもの習い事があるので午後には出ますね」と事前に伝えるようにしています。前もって言っておくと、驚かれることも少なく、スムーズに帰れるようになりました。
ひとりの時間を確保する工夫
親戚づきあいの疲れは、人間関係による精神的な消耗が大きな原因です。だからこそ、集まりの前後には“ひとり時間”をしっかり確保しましょう。
私は、帰省の翌日を完全オフにしています。家事も最低限にとどめ、静かなカフェでぼーっとしたり、好きな音楽を流しながら寝転んだり。これだけでも、気持ちがずいぶん回復します。
「行事をこなすこと」だけが重要なのではなく、「自分の回復時間をセットで考える」ことも、親戚づきあいを続けるうえで欠かせません。
心が疲れたら、“第三者視点”を思い出す
親戚の集まりで何か言われたとしても、すべてを真に受ける必要はありません。
「これはその人の価値観であって、私を否定しているわけじゃない」
そうやって少し距離を置いて聞くと、心へのダメージがぐっと減ります。
たとえば、義父に「そろそろ子どもを考えないと」と言われたとき、以前なら真っ向から落ち込んでいた私も、今では「そういう時代を生きてきた人なんだな」と受け流せるようになりました。
次章では、付き合いを長く続けるための「メンタルの整え方」と「自分軸の持ち方」について詳しくお伝えします。
親戚づきあいに振り回されない“自分軸”の整え方
親戚づきあいがしんどくなる最大の原因は、「相手の価値観に引きずられて、自分を見失うこと」だと私は思っています。
誰かの期待に応えようとするたび、誰かの言葉に傷つくたび、少しずつ自分の軸がブレていく。そして気づけば「私は何のためにこの時間を過ごしているんだろう」と感じるようになるのです。
ここでは、他人の言動に左右されすぎないための「自分軸の整え方」や、心のバランスを保つ考え方をご紹介します。
「他人の正解＝自分の正解」ではないと知る
親戚のなかには、自分の価値観を当然のように押しつけてくる人もいます。「家を買わないと人生損する」「子どもは早いうちに産むべき」など、善意を装った“正論”が、かえって心を疲弊させることも。
でも、ここで思い出してほしいのは、「その人にとっての幸せが、あなたにとっての幸せとは限らない」ということです。
私も、「まだ子どもいないの？早くしないと」と言われて深く傷ついたことがありました。でも今では、「その人はそう思ってるだけ。私は私の人生を歩んでる」と、心のなかでそっと距離を置くようにしています。
心の“反応スイッチ”を下げる習慣
親戚とのやり取りで落ち込みやすい人におすすめしたいのが、「反応しすぎない練習」です。
つまり、何か言われても即座に反応せず、ひと呼吸おいてから受け取る。これだけで、心の揺れ幅はかなり小さくなります。
「そういう考え方もあるんですね」「なるほど、勉強になります」といった“スルー力”のある言葉を覚えておくのも一つの方法。相手を否定せずに自分を守る、大人の距離感です。
本音を話せる“味方”を持っておく
親戚づきあいの場では、なかなか本音を口にできませんよね。だからこそ、帰省後に思いを吐き出せる相手がいると、気持ちが整理しやすくなります。
私の場合、親友とのLINEが“心の避難所”です。「今日また〇〇さんに言われたよ〜」「帰省、地味にしんどかった」と話せるだけで、だいぶ気がラクになります。孤独にならないことも、自分軸を保つうえではとても大切なポイントです。
「すべてうまくやらなくていい」と自分に許す
最後に、何よりも大切なのは、「自分を責めないこと」。
多少うまく立ち回れなくても、言い返せなくても、それは失敗ではありません。親戚づきあいは、正解のない人間関係です。むしろ“多少の不完全さ”こそが、長く続けていくためには必要なのだと、私は感じています。
最終章では、ここまでお伝えしてきた内容を振り返りながら、私自身がこのテーマに感じていること、そして読者のみなさんに伝えたい想いをお届けします。
無理しない親戚づきあいを目指して──筆者の想い
ここまで、「親戚づきあいがしんどい」と感じる理由から、その対処法、距離感の工夫までをお伝えしてきました。
これらはすべて、私自身が何年もかけて試行錯誤しながらたどり着いた実感でもあります。
正直なところ、昔の私は「親戚づきあいが苦手なんて思っちゃいけない」と自分に言い聞かせていました。集まりでは気を張り、義実家では黙って働き、あとになってどっと疲れが出る──そんなサイクルを何度も繰り返してきました。
でもある日、「これって本当に私に必要な関係なんだろうか？」と自分に問いかけてみたんです。
すると、答えは意外とシンプルでした。
「全部を頑張らなくてもいい。ただ、自分の心を守るほうが、もっと大切。」
それからは、無理に笑わない。全部に応えない。適度な距離を取る。そのぶん、自分の心に余裕ができて、逆に“必要なつながり”は自然と深まっていきました。
親戚づきあいに正解はありません。人によって関係性も違えば、しんどさの種類も異なります。でも一つ言えるのは、「誰かに合わせすぎて自分を失ってしまう」つきあい方は、長くは続かないということ。
この文章が、あなたにとって少しでも「ラクになっていいんだ」と思えるきっかけになれば嬉しいです。
親戚づきあいは、あなたが“疲れ果てて我慢する場”である必要はありません。
あなたのペースで、あなたらしく向き合っていけば、それで十分なんです。無理せず、ほどよく、気楽に。そんな距離感を、これから一緒に築いていきましょう。
